2021.04.05
唾液と虫歯予防
こんにちは。はやし歯科クリニック歯科衛生士の八木橋です。
今日は、意外と知らない唾液の働きについてお話ししていきます。
唾液とは、99%以上が水分、残りの1%ほどに抗菌、免疫、消化などに関わる重要な成分を含んでいます。
口の中を潤すだけでなく、口腔内の細菌の増殖を抑え、口臭、虫歯、歯周病など、さまざまなトラブルから私たちを守ってくれています。
まず、唾液の働きを紹介しますね!
歯や歯間に付着した、食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流す
口腔内の細菌の増殖を抑える
飲食により酸性に傾いたお口の中のpHを中和させ虫歯を防ぐ
飲食により溶けかかった歯の表面を修復し、虫歯を防ぐ
唾液に含まれる酵素アミラーゼがデンプンを分解して麦芽糖に変え、体内に吸収しやすくする
ムチン(ネバネバした油状の物質)が粘膜を保護し、発声をスムーズにする
上皮成長因子により組織が傷ついたときに傷跡を残さないように修復している
味を感じさせ、噛み砕いたり飲み込んだりしやすい塊にする
こんなに沢山の働きがあるんです。
その中から、歯を守る働き③pH緩衝作用 と ④再石灰化作用について詳しくお話ししていきます。
まずは、pHの緩衝作用についてです。
私たちは、食べたり飲んだりすると、飲食物の酸や口腔内細菌が出す酸により、お口の中が酸性に傾き、歯からミネラル成分が溶け出しやすい状態になってしまいます。
それに対して、ややアルカリ性の唾液には、口腔内を洗浄、希釈、緩衝する作用があります。口腔内を中性に戻し、健康な状態に戻してくれます。
もう一つは再石灰化作用です。
簡単に言うとミネラル成分の補給です。
唾液には、歯の脱灰に対して、再石灰化という自然治癒の働きがあります。
唾液中にはカルシウムイオンと、リン酸イオンが飽和状態で存在しています。歯の主成分ハイドロキシアパタイトの飽和溶液と言えます。
歯のエナメル質が溶け出して、微量にミネラルが失われ、初期虫歯の状態になると、唾液中のカルシウムイオンとリン酸イオンが浸透し、歯のハイドロキシアパタイト結晶を元の状態に戻すように促してくれます。
つまり唾液には歯を修復する力があります。
しかしストレスや不規則な食生活、または高齢などにより唾液の分泌が追いつかない場合、口呼吸により口腔内の乾燥がある場合、歯の脱灰が進み、虫歯になるリスクが上がってしまうのです。
まずは、おやつのダラダラ食べや口呼吸など、生活習慣を見直し、唾液の作用を利用して虫歯予防をしてみましょう!