2017.10.10
骨粗しょう症と歯科
今回のテーマは「骨粗しょう症と歯科」です。
骨粗しょう症と歯科での治療についてお話します。
皆さん、骨粗しょう症って聞いたことありますか?
骨粗しょう症は、骨の量が減って、骨の構造がスカスカになった状態です。
手首・背骨・腕の付け根・太ももの付け根などが骨折しやすくなります。
骨密度が若年成人平均値の70%未満で骨粗しょう症とです。
どれくらいの方が骨粗しょう症かというと、50歳以上の女性のおよそ3人に1人は骨粗しょう症だそうです。
では、骨粗しょう症の原因にはどんなものがあるでしょうか?
骨には、「骨のリモデリング」という仕組みがあります。表面で破骨細胞が古くなった骨を吸収(壊して)、骨芽細胞が骨を作って、新しい骨になるというものです。骨のターンオーバーです。
さて、骨粗しょう症の原因には次のものがあります。
①加齢
50代になると、腸からのカルシウム吸収が衰えて来るので、骨を作るカルシウムが不足します。骨の吸収と形成のバランスが崩れてしまいます。
②閉経と更年期障害
女性ホルモンの「エストロゲン」には骨の吸収をゆるやかにする効果があります。閉経すると「エストロゲン」の分泌が低下し、そのため、骨の吸収が進行して、骨のリモデリングのバランスが崩れてしまいます。
③ダイエット
身体のカルシウムは約90%が骨にあり、数%は血液中にあります。ダイエットをすると、血液中のカルシウムが不足して、骨のカルシウムが血液中に出てきます。骨を作るカルシウムが不足して、バランスが崩れてしまいます。
④ほかの病気によるもの
パセドウ病などの甲状腺機能亢進症、関節リウマチ・糖尿病などの病気や、胃切除後のステロイド薬の長期服用などがあります。
では、骨粗しょう症の治療はどんなものがあるでしょうか?
骨粗しょう症の治療は、大きく3つに分けられます。
①薬による治療、②運動による治療、③食事による治療です。
歯科治療と関係があるのが、薬による治療です。
骨粗しょう症の治療で使われる薬には、大きく分けて3種類あります。
①骨の溶け出しを抑える薬
・SERM(サーム)製剤
骨に対してエストロゲンに似た作用を示して、骨密度を増やし、骨の質を改善して骨折を予防します。
・ビスホスホネート製剤
破骨細胞が集まらないようにして骨吸収を抑えて、骨密度を増やし、骨折を予防します。
②骨造りを促す薬
・副甲状腺ホルモン薬
骨造りを促して、骨密度を増やして、骨折を予防します。
③その他
・活性型ビタミンD3製剤
腸からのカルシウム吸収を促して骨代謝を改善します。
これらの薬の中で注意が必要なのが「ビスホスホネート系製剤」です。
ビスホスホネート系製剤を使ったことがある方が抜歯など外科処置をすると、顎骨壊死の可能性があります。
顎骨壊死すると、あごの骨が溶けたり、歯肉腫脹、疼痛、排膿、歯の動揺、顎骨の露出などが起きてしまいます。
薬を飲んでいる方が、抜歯・インプラント・歯周外科など、顎骨に刺激が加わる治療をするときは、一緒に飲んでいる薬や、薬の服用期間によっては、飲むのを中止してもらう場合もあります。
☆まとめ
骨粗しょう症になると、骨がもろくなって骨折しやすくなります。
「ビスホスホネート製剤」での治療を行っている方は、歯科での治療に注意が必要です。
もし薬を飲んでいる場合は、お薬手帳を一緒にお持ちくださいね。